2017年3月期の決算が出揃った。M&Aや業務改善などにより、介護事業に注力する上場企業の多くが介護関連部門で売上を伸ばした。
介護事業単体で最高の売上を出したのはニチイ学館(東京都千代田区)。デイの人員配置見直しにより利益はV字回復しており、保育・中国事業の部門も利益増に貢献。来期の総経常利益は60億円を目指す。
次いでSOMPO HD(同新宿区)。SOMPOケアメッセージ減収の要因について「内部管理体制整備のために営業活動をセーブしたことによる入居率低下」としている。一方、SOMPOケアネクストでは営業体制の見直しを進めた結果入居率が上昇した。
ベネッセHD(同新宿区)は順調な入居者数増加により介護・保育分野で増収増益。今年度は新規開設を10棟程度にとどめ、既存施設の安定経営に努める方針だ。4月に行った大幅な処遇改善による人材確保・育成で質向上を図る。
ツクイ(横浜市)では、各種加算取得が他社との差別化を推進した。在宅系サービスの売上や有老の入居者数が計画を下回ったが、サ付き住宅は計画通り推移。人材開発事業は強いニーズが追い風となった。
M&Aや新会社設立などの動きが多かったセントケアHD(同中央区)も増収増益。M&Aで得たノウハウを活用し、オランダ式、医療強化型など多様な訪問看護の展開を推進する。来期は売上高約400億、経常利益20億超を見込む。
ソラスト(同港区)も増収増益だ。主に第3四半期に行った計11件のM&Aによる施設数増加が増収に寄与した。今後はさらなるM&Aや人員の削減・適正配置を通し、「2020年度売上1000億円」に向かう。
一方で、やまねメディカル(同中央区)は大幅な減収減益。これは昨年6月に行った単独デイ事業の売却による。この対価による特別利益の計上で純利益は黒字化。かつ債務超過の解消などを行ったため、無借金会社となった。なお、セグメント別売上に「介護」がなく、表に記載できなかった上場企業も多い。住友林業、スターツコーポレーション、ソニー、パナソニック、オリックス、関西電力など、介護を注力分野に掲げる企業は増加している。
