介護付有料老人ホームを中核事業に据え、埼玉・茨城で複合施設展開を行ってきた日本ヒューマンサポートグループ(埼玉県春日部市)は、今年介護関連2社のM&Aを行った。また、予防医学の考えからサプリを自社開発し、ヘルスケア市場へも積極参入した。
── 今年、2件のM&Aを行ったそうですね。
久野 後継者問題に苦慮していた2社の事業承継を行いました。まず今年1月に、有料老人ホーム1施設、GH2施設、訪介1拠点、デイ1施設などの運営を行っていた理想ケアサービス(北海道小樽市)の業務を引き継ぎました。そして今年3月、有料老人ホーム、GH、小多機、デイなどを展開していたグランツ(岩手県花巻市)の地域密着型複合介護サービス拠点を事業承継しました。
── これまで埼玉と茨城を拠点に展開されていましたが。
久野 中核事業は介護付有料老人ホームであり、埼玉・茨城を拠点に展開していくつもりですが、地域に必要とされている施設でも、後継者問題で閉鎖する例が増えてきました。そこで経営者と直接会い、志を同じにする事業者に関しては事業の引継ぎを行うことにしました。今後も、このような相談案件があれば前向きに対応したいと考えています。
── 既存施設の運営状況は。
久野 介護付有料老人ホームでは、利用者のニーズを考え、入居一時金0円のビジネスモデルを構築しています。特養並みの低価格設定と、医療依存度の高い入居者への医療体制の充実、プライマリケアの徹底など、充実した介護・看護・医療によるケア体制を整えていることもあり、入居率は堅調に推移しています。
── グループの社会福祉法人での取り組みは。
久野 2年前に、公的意味合いの強い社会福祉法人を立ち上げたのは、埼玉県内で1万5000人以上、東部線エリアで3500人以上の特養待機者に対して、プライバシーを重視した安全個室型の特別養護老人ホームを作りたいと考えたからです。社会福祉法人博心会では、100床のユニット型特養「清風園」を運営し、胃ろう、インスリン投与(糖尿病)といった医療依存度の高い重度要介護者の積極的な受け入れを行っています。
── 今後の戦略は。
久野 医療費の高騰が財政を圧迫しています。そこで注目を集めているのが、未然に病気を防ぐ予防医療の考えです。当社では、新たなプロジェクトとして、黒酵母サプリメントと化粧品をシリーズで作り、ヘルスケア市場に参入。免疫力を高め、健康で長生きできる社会の実現に向けた取り組みを開始しました。今後も、介護という枠にとらわれず、入居者や利用者のニーズに対する「気づき」を重視し、事業を展開していきたいと考えています。