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2017年06月07日号

福祉施設建設費高騰 1平米で28万3000円(WAM調べ)

 独立行政法人福祉医療機構(東京都千代田区)は2016年度のユニット型特別養護老人ホーム(以下・特養)・保育所と病院・介護老人保健施設の建設費について調査結果を公表した。いずれの施設も平米単価及び定員1人あたりの建設費は上昇傾向にあり、事業者はコスト低減が求められる。


 2016年度の平米単価は、ユニット型特別養護老人ホームが28万3000円、保育所が32万2000円、病院が34万6000円、老健施設が29万1000円だった。なお、特養・保育所の平米単価を地域別にみると、首都圏が最も高い水準となっている。いずれも、新築が対象。


 特養の平米単価は2010年を底に上昇傾向にあり、2016年度は最も高い数値となった(上図参照)。特に首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)では、全国平均を上回る水準が続いている。


 近年の建設費高騰の要因に東日本大震災の復興需要があったが、東北の建設費は平均を下回った。同機構は、首都圏を中心に2020年開催のオリンピック・パラリンピックに向けた工事や再開発による建設需要の高さを建設費上昇の主要因と分析している。


 また、定員1人当たり面積はここ数年で大きな変化はないものの、2008年度からゆるやかな減少傾向にあり、建設費が高騰する中、総工費を抑制する意図が働いた可能性があるとしている。


 定員1人当たりの建設費は、福祉施設では若干減少するか、横ばい状態で医療施設では増加の傾向だった。


 内訳は、特養が1259万円、保育所が270万6000円、病院が1746万8000円、老健が1347万7000円。


 平米単価と同様、おおむね上昇傾向にあったが、2016年度の特養の実績では全国平均が1259万円と前年度の1287万8000円から約30万円低下、首都圏では1239万7000円と前年度の1287万2000円から47万5000円低下した。