厚生労働省は21日、第72回社会保障審議会介護保険部会を開催。改正介護保険法を踏まえ、来年から2020年における市町村介護保険事業計画・都道府県介護保険事業支援計画策定のための基本指針の新案を示した。正式な告示は10月以降になる見込みだ。また、同日開催の給付費分科会では通所介護などが論点となった。
2018年度からは、医療計画と介護保険事業計画のサイクルが揃うことになる。第7期となる今回の介護保険事業計画基本指針においても、2025年のサービス量を見込んだ計画策定の推進・医療計画との整合性確保といった点が盛り込まれている。各取り組みにおける適切な運営及び評価に向けたPDCAサイクルの推進も明記した。
今回の指針にはこれまでの介護保険部会で出された意見が反映されている。審議会では「内容に異論なし」との声が多い中、「市町村の負担が大きい」との懸念もあった。鈴木邦彦委員(公益社団法人日本医師会常任理事)は「小規模市町村では人手などが厳しくなるため、都道府県の支援が重要」と発言。桝田和平委員(公益社団法人全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)は「新総合事業のサービス単価等まで市町村で定めるとなると非常に複雑化する。実情を調査したうえで策定する必要がある」とした。
また、地域ケア会議や高齢者の居住確保、介護医療院についても触れている。武久洋三委員(一般社団法人日本慢性期医療協会会長)は「介護医療院の新設は非常に大きなこと。これは都道府県が扱ったほうが良いのでは」と発言。事務局は「介護医療院に関する総量規制等の詳細については改めて通知を出す」としている。
給付費分科会 通所が論点に
なお、同日は第141回社会保障審議会介護給付費分科会も開催された。議題の中心は、2018年度改定の通所介護の取り扱い。
厚労省は、5月の「一億総活躍社会の構築に向けた提言」を受け、介護と仕事の両立を支援する観点からデイの夜間開所について加算新設を提案。委員からは「人員配置の観点から実施は困難」(東憲太郎委員・公益社団法人全国老人保健施設協会会長)、「単純に夜間までサービスを拡大するのではなく、地域の高齢者の力を借りるなど柔軟な考えが必要」(堀田聰子委員・慶應義塾大学教授)など反対や疑問の声が多くあがった。
また、「セラピストの配置体制を評価すべき」(鈴木委員)、「人員配置だけではなく、アウトカムで評価を」(東委員)と、機能訓練に積極的に取り組む事業所を評価する方向で概ね一致したが、「家族にとってはレスパイト機能も重要な要素」といった意見もあった。