警察庁は6月15日、2016年に届け出を受けた認知症行方不明者は、全国で1万5432人だったと発表した。前年から3224人(26・4%)増加しており、2012年の統計開始から4年連続で過去最多を更新。行方不明者全体の8万4850人に占める割合は18・2%となっている。
厚生労働省によると、認知症の高齢者は2015年の時点でおよそ520万人。2025年には約700万人まで増える見通しで、今後も認知症行方不明者は増加する懸念が強い。
「新オレンジプラン」では、地域ごとのネットワークづくりを推進していく考えを打ち出しており、必要な費用を補助したり、先進事例をまとめた資料を配布している。これを受け、自治体や民間事業者の動きも活発化している。神奈川県川崎市は、郵便局や生活協同組合、信用金庫、ガス・電力など、住民の生活と関係が深い事業者が見守りネットワークを構築。独居高齢者などに異変が生じた場合などに行政機関に連絡する。福岡県大牟田市は、家族から捜索願を受けた警察が、周辺の鉄道会社やタクシー会社、郵便局、市役所などへ必要に応じて通知を出している。あらかじめ登録している市民にメールを送り、情報が速やかに共有される仕組みも整備している。
民間企業もさまざまな種類のサービス・機器を開発している。身元が確認できるQRコードを衣服などにシールで貼っておいたり、持ち物や時計、靴にGPSを付けて位置が分かるようにしたりする試みなどが行われている。やさしい手は、遠方に住む家族などが親の一人歩きを知らせる見守り機器のレンタルサービスを手掛けている。このほか、タアロアエンジニアリングやDXアンテナなど多くのメーカーが商品開発に注力している。