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2017年09月20日号

アースサポート 国内外で展開加速・中国でも訪問入浴開始へ

 訪問入浴最大手のアースサポート(東京都渋谷区)は、沖縄を除く全国483拠点で訪問介護やデイサービスなどを運営している。

 

 

 今期事業所数拡大を目指す訪問入浴事業や中国事業などについて、森山典明社長に今後のビジョンを聞いた。

 


── 今期の事業計画を教えてください。


森山 2018年6月期は、事業所数の拡大を視野に入れています。今年4月時点の総事業所数は483拠点、うち訪問入浴は260拠点です。拡大にあたり、新規事業所を開設していくというよりは、経営がうまくいっていない既存の事業所を引き受けていきたいという思いがあります。当社ではこれまでにも8社のM&Aを行ってきましたが、今後も積極的に取り組んでいく考えです。

 


 また、さまざまな地域で在宅介護支援センターや地域包括ケアセンターの運営を21件受託しています。会社設立前から44年、介護事業を手掛けてきましたが、やはり社会福祉法人への信頼が圧倒的に強いと感じる場面は多々あります。民間事業者でも信頼を得るための実績として、こうした受託事業は今後も行っていきたいと思います。

 


── 業界トップの拠点数を誇る訪問入浴事業について。

 

森山 4本柱として、訪問入浴、訪問介護、デイサービス、居宅介護支援事業所のサービスに注力していますが、基幹事業はやはり訪問入浴です。約40分の訪問でも、多職種連携により利用者が心から満足するサービスを提供できる事業として、質の高さを維持・追求しています。

 


 私は一般社団法人日本在宅介護協会の訪問入浴部会長を務めていますが、同協会が集計したアンケートによると、訪問入浴業界の年間サービス廃止率は51・6%と出ています。全利用者の約36%は医療機器利用者であり、ターミナルや要介護5の方の利用が殆どであるため、亡くなってしまうケースが圧倒的に多いのです。

 

 

 しかし、新規利用者数・事業所数ともに着実に伸びており、業界全体の売り上げも年々少しずつ増加しています。

 


── 短時間でも、利用者の満足度が非常に高いのが訪問入浴。

 

森山 ケアマネジャーや家族の目線で、「ターミナルだから」「1回だけの利用になるかもしれないから」などと訪問入浴の利用を検討しないケースがありますが、是非とも本人の気持ちになって考えてほしいと思います。涙を流して喜んでくれる現場を幾度となく見てきたからこそ、「訪問入浴は絶対に必要」と信念を持って続けてきました。

 


 当社では、全国の利用者を対象に抜き打ちアンケートを実施していますが、これによると、訪問入浴利用者の約9割が「満足」と回答してくれています。この声は、職員のモチベーション向上にも繋がっていると感じます。

 


── 中国での展開については。


森山 昨年9月に上海市で事業開始した現地企業との合弁会社「愛志旺(アースワン)」は、デイサービス1ヵ所のほか、委託事業や相談業務の運営などを行っており、介護保険の指定も受けています。当社としては訪問入浴事業を早く開始したいのですが、中国の法律ではボイラー車の走行ができなかったため現在準備をしているところです。準備でき次第、近々サービス開始予定です。富裕層のみが利用するものではなく、必要なところに届けられるサービスを展開したいと考えています。