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2017年10月04日号

中医協 患者情報の利活用へ 次期改定以降を見据え検討

 厚生労働省は9月27日、中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会と、第361回総会を開催した。総会では、診療報酬に係る事務の効率化・合理化や情報の利活用に向けた議論が行われた。

 

 

 診療報酬基本問題小委員会における議題は「入院医療等の調査・評価分科会におけるこれまでの検討状況について」。


 厚労省から示されたデータについて、支払い側からは幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が「急性期病棟において、患者の重症度を示すA項目ゼロ点かつB項目2点以下の入院患者が約半数を占めている」「在宅で管理可能なのに退院していない患者の理由が『家族の意向』である割合が目立つ」と発言。さらに重症患者割合の測定方法について、看護必要度非該当者に関する基準・評価の再分析を求めた。これに対し松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「確かに分析は必要だが、データには退院間近の患者が含まれている。また、様々な要素が重なって退院できない状況に至ることも理解してほしい」とした。

 


現場の効率化妨げぬ視点を


 総会では、主に診療報酬に係る事務の効率化・合理化と、診療報酬に係る情報の利活用の2点について議論した。方向性については賛成意見が多い中、患者情報の利活用に向けて、レセプトに患者の住所地の郵便番号及び氏名のカタカナ記載を求めるという案に関しては、ほとんどの委員から現場の負担を懸念する声が聞かれた。


 遠藤秀樹委員(日本歯科医師会常務理事)は、「郵便番号は保険証にも記載されていない情報。保険証の記載事項との整合性を図る必要があるのでは」と言及。安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)もこれに同意したうえで、「情報の利活用が事務効率化を妨げることになってしまう」とし、現場における円滑な運営に向けて、方法論に知恵を絞る必要があると訴えた。


 厚労省は、2018年度改定の具体的な内容を見据えながら、直ちに対応が困難なものは改定以降段階的に対応するとしている。また、近年、回復期や慢性期の病棟にも診療実績データの提出義務が拡大されている。データ提出に伴う加算に関する議論も踏まえて検討していく方針だ。