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2017年10月04日号

巨樹の会 江東区に200床超の回リハ 150人のリハスタッフを配置

 国内最大の回復期リハビリテーション(以下・回リハ)病床数を誇る一般社団法人巨樹の会(佐賀県武雄市)は10月1日に206床の「江東リハビリテーション病院」を開設した。既存施設同様、セラピストを手厚く配置。グループで掲げる「身体的・精神的・社会的・職業的・経済的能力の回復」を推進する。

 

 

エリア内病床数一気に引き上げ

 

 同法人は近年、首都圏エリアでの回リハ病院展開に注力している。今回は2015年品川区の「五反田リハビリテーション病院」につづく関東エリア内で15施設目の病院開設となる。


 「江東リハビリテーション病院」は地上7階建ての5病棟。206床の回復期病床のほか、回復期リハビリの要件を外れた患者を受け入れるため、8床の一般病床を備えている。

 

 立地は都営地下鉄新宿線の西大島駅徒歩8分にあり、同じ東京都江東区東部の連携予定医療機関には順天堂高齢者医療センター、都立墨東病院、済生会向島病院、聖路加国際病院などがある。今回の開設で12.5床と低水準だった同区の人口10万人当たりの回復期病床数は51.1床になり、全国平均60床に近い水準まで上がった。

 

 

屋上庭園など充実した設備


 病室は1人あたりのスペースを広くとり、多床室でも家具の配置で半個室のように感じられる空間づくりを意識。療養生活を送る環境にも配慮した。最も特徴的な点は、効果的なリハビリテーション訓練を実践する多様な空間だ。訓練室は約550平米と広く、同法人が注力する「職場復帰」のためのジョブトレーニングルームを備えた。このほかにも屋上のテラス、浴槽やキッチンなどを再現したシミュレーションルーム、運転シミュレーターなど多彩な場面を想定してリハビリに取り組める設備を持つ。


 リハビリ専門職の配置も手厚く、およそ350人の職員のうち150人ほどを占める。


 先月9日に開催された開院式には、行政担当者や地域住民も含めて約3000人が訪れた。グループの創設者である蒲池眞澄会長は「これまで、回復期を担う病院は郊外にあるのが常識だった。患者の生活圏の中で『家に帰れる能力』を身に付けるリハビリを今後も提供していきたい」と語った。今後も医療・介護事業者のみならず、地域住民に向け回リハ病院の役割について講演などの交流機会を積極的に設け、普及していく考えだ。